土井恵里奈
おめでとう、安子と稔――。NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の主人公が、悲恋を乗り越え最愛の人と結婚した。地元の名家の稔(松村北斗)は、繊維会社の跡取りとして政略結婚するはずだったが、土壇場で急展開となった。
11月19日の放送の冒頭、異変は起こった。稔は取引先の銀行の頭取の娘と祝言を挙げるために、大阪から岡山へ帰ってくる。
父の千吉(段田安則)に連れられ神社へ行くと、千吉に告げられる。「あの人がお前が祝言を挙げる相手じゃ」。そこにいたのは、なんと安子(上白石萌音)だった。
父としての決意
千吉の決断には、戦争に翻弄(ほんろう)される経営者というよりも、父としての思いがあふれていた。安子の人柄の良さに胸を動かされ、若い2人の未来を見守ることを決めたのだ。演じた段田は「観(み)てくださっている方もそうでしょうけど、台本を読んでいても本当に安子の味方になってしまうんです」とコメント。千吉については「つらい時代に生きた人」としつつ、「息子たちと妻に囲まれ、幸せだと思います。厳しいようで優しい、いいお父さんだなと思います」。
しかし、稔はほどなく出征するため、安子と暮らせるのはほんのひと月ほどしかない。どうか子どもを授かりますように。我が子との幸せな暮らしと平和な世の中を願う2人だったが――。
安子と美都里の嫁姑関係は
その後の展開のキーパーソンになりそうなのが、安子が入る雉真(きじま)家の姑(しゅうとめ)、美都里(みどり)。良家のお嬢様育ちらしい気品と華やかさがあり、安子の控えめで素朴な雰囲気とは相いれそうにない。息子を愛するがゆえ、安子にとって大きな壁となっていく。
美都里を演じるのは、独特な存在感で人気のYOU。これまでは個性的な役柄を演じることが多く、朝ドラへの出演は初めてとなる。「朝ドラは日本のみんなが見るドラマっていう印象なので、オファーが自分にくるっていうことへの違和感がありました」とコメント。役柄については「世間知らずで、非常にこう…未熟な女ですね(笑)。私の持っている未熟な部分と重ね合わせて演じています」と語る。
この日の放送の終盤は、安子と稔の和菓子のように甘いシーンが印象的だが、ナレーションは「短いけれど幸せな日々でした」で終わる。このあと、夫婦はどうなるのか。甘くない嫁姑関係が始まるのか。来週も目が離せない。(土井恵里奈)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル